パリ人肉事件のことすら知らず、ちょうど時間つぶしになる時刻に上映していたというだけで本作を拝見。途中で退出した観客がいたが、中盤のある描写は確かに私も面食らいました。
一見、おとなしく過去の人の今を映すだけかと思いきや、突如、人の裏側を映す恐ろしさを持つ映画です。そして、そのことさえ佐川一政氏は驚きもしないことには、恐ろしいというより異質な生物だと感じて思考を止めてしまうだけである。
「悪」というものがあったとして、それ以外は相対的に「善」と捉えてしまうとか、目の前でよき行いをしている人を「善」と捉えてしまうとか。
相対的に物事を見ていても、それだけでは表層を見ているにすぎないということを実感させられる作品でした。